沖縄旅行を計画中の皆さん、旅の目的に「とっておきの器探し」を加えてみてはいかがでしょうか。沖縄の言葉で「やちむん」と呼ばれる焼き物は、南国らしい大らかな魅力で多くの人々を惹きつけています。数ある工房の中でも、近年ひときわ注目を集めているのが、沖縄本島南部の南城市に工房を構える「宮城陶器(みやぎとうき)」です。
作家・宮城正幸さんが生み出す器は、沖縄の伝統的な技法を受け継ぎながらも、現代の暮らしにすっと溶け込むモダンで洗練されたデザインが特徴です。 料理を引き立てるシンプルな美しさと、毎日使いたくなる軽やかさ。 そんな宮城陶器の世界に触れれば、きっとあなたの沖縄旅行がより一層思い出深いものになるはずです。この記事では、宮城陶器の魅力から工房へのアクセス、さらには周辺のおすすめスポットまで、詳しくご紹介していきます。
宮城陶器とは?沖縄の伝統と現代が融合した新しい”やちむん”
沖縄の焼き物と聞くと、多くの人が「やちむん」を思い浮かべるでしょう。ぽってりと厚みがあり、力強い絵付けが施された器は、沖縄の食文化や風土を色濃く反映しています。そんなやちむんの世界で、新たな風を吹き込んでいるのが「宮城陶器」です。
宮城陶器
実物のクオリティが高いから
色々見た結果一周まわって一番好きカルディのゴマ団子うま pic.twitter.com/5o3JvfSjDh
— サッさん🎂スイーツ男子 (@sassanhomes) May 12, 2025
作家・宮城正幸さんの想いと経歴
宮城陶器の作り手は、作家の宮城正幸(みやぎ まさゆき)さんです。 1978年に沖縄で生まれ育った宮城さんは、会社員として働いていた頃、ものづくりへの想いが募り、陶芸の道を志すようになりました。 沖縄の著名な陶芸家である壹岐幸二(いき こうじ)氏のもとで10年間修行を積んだ後、2013年に独立。 故郷である南城市に自身の工房「宮城陶器」を構えました。
宮城さんが掲げるコンセプトは「シンプル・味わい・伝統・モダン」。 この言葉通り、彼の作品は沖縄の伝統的なやちむんの技法や精神を尊重しつつも、これまでの沖縄にはなかったような、薄手でシャープなフォルムと洗練されたデザインが特徴です。 「あくまで主役は使う人や料理」という考えのもと、日々の暮らしに寄り添い、料理を美しく引き立てる「用の美」を追求し続けています。
宮城陶器
奥さんの友達の出産祝いに購入 pic.twitter.com/dPoWUquVbX
— ヤックル (@nyaoya27) November 10, 2024
宮城陶器が生まれる場所、緑豊かな南城市の工房
宮城陶器の工房は、那覇空港から車で約40分ほどの距離にある沖縄県南城市にあります。 サトウキビ畑が広がるのどかな風景の中に佇む工房は、宮城さんの奥様の実家である沖縄の古民家を改装したものです。 この趣のある空間が、ギャラリーも兼ねています。
工房のギャラリーは不定期オープンとなっており、訪問には事前の予約が必要な場合がほとんどです。 詳しいオープン日や予約方法については、公式のInstagramなどで最新情報を確認することをおすすめします。 静かな時間が流れるギャラリーで、窓の外に広がるサトウキビ畑の風景を眺めながら、一つひとつの器と丁寧に向き合うことができます。
「やちむん」とは?旅がもっと楽しくなる基礎知識
宮城陶器をより深く理解するために、沖縄の焼き物「やちむん」について少し触れておきましょう。「やちむん」とは、沖縄の方言で「焼き物」全般を指す言葉です。その歴史は古く、琉球王国時代にさかのぼります。
かつては壺屋(現在の那覇市)に窯元が集まっていましたが、1970年代以降、登り窯から出る煙の問題などから、多くの陶工が読谷村(よみたんそん)に移り、「やちむんの里」を形成しました。
伝統的なやちむんは、沖縄の赤土や白土を使い、魚や唐草模様などの力強い絵付けと、おおらかで厚みのある形が特徴です。 宮城陶器の作品は、こうした伝統的なやちむんのイメージとは一線を画すモダンな印象を与えますが、その根底には、沖縄の土や釉薬、そして先人たちが培ってきた技術への敬意が流れています。 宮城陶器の器を通して、進化し続けるやちむんの「今」を感じてみてください。
宮城陶器の作品が持つ唯一無二の魅力
多くの人々を惹きつけてやまない宮城陶器の器。その魅力は、デザインの美しさだけでなく、使い手への細やかな配慮や、沖縄の自然を感じさせる独特の風合いにあります。ここでは、その具体的な魅力について深掘りしていきます。
沖縄の購入したものたち②
宮城陶器さんにて青磁釉と灰釉のお皿を2枚ずつ。なんと綺麗なお皿たち…配送料おまけしてもらったり、とても良くしてもらっちゃった…
関西にも来られる機会があるそうなので必ず行く! pic.twitter.com/Z4GYTihlLg— 𝟮𝟰 (@24_momojiri) March 1, 2024
伝統技法とモダンな感性が融合したデザイン
宮城陶器の最大の魅力は、沖縄の伝統と現代的なセンスが見事に融合している点にあります。修行時代に培った伝統的なやちむんの技術を基礎としながらも、その表現は非常にモダンです。 例えば、器の縁(ふち)を際立たせたシャープなフォルムや、無駄を削ぎ落としたシンプルな造形は、これまでのやちむんにはあまり見られなかった特徴です。
それでいて、どこか沖縄らしい温かみや、手仕事ならではの揺らぎも感じられます。古い沖縄の焼き物の中にある、シンプルでモダンなエッセンスを学び、自身の作品に昇華させているのです。 和食はもちろん、パスタやカレーなどの洋食、さらにはエスニック料理まで、どんな料理も受け止めてくれる懐の深さがあります。
毎日の食卓で輝く「用の美」
宮城さんは、「作っているのは道具。使ってもらってなんぼ」と語ります。 その言葉通り、宮城陶器の器は観賞用ではなく、日々の暮らしで使われることを第一に考えて作られています。見た目の美しさだけでなく、持った時の軽さや、重ねて収納しやすいことなど、実用性へのこだわりが随所に見られます。
特に、沖縄のやちむんにありがちな「重さ」を感じさせない、薄くて軽い作りは多くの人に支持されています。 高い技術力があるからこそ実現できるこの軽やかさは、毎日の配膳や後片付けの負担を減らし、自然と手に取る機会を増やしてくれます。料理人からの支持が厚いのも、この使いやすさと料理を引き立てる美しさが両立しているからに他なりません。
沖縄の海と空を映す、美しい釉薬の色
宮城陶器の器を語る上で欠かせないのが、沖縄の自然を彷彿とさせる美しい釉薬(ゆうやく)の色合いです。釉薬とは、陶磁器の表面を覆うガラス質の部分のことで、色や質感を生み出す重要な役割を担います。
特に人気が高いのが、沖縄の海や空を映したかのような鮮やかな青色の「ペルシャ釉」や、深みのある「青磁釉」です。 これらの青は、窯の中で起こる化学変化によって生まれるため、一つとして同じ表情のものはありません。 釉薬が溜まった部分には深い湖のような色が生まれ、見る人を引き込みます。
その他にも、土の温かみを感じる「粉引(こひき)」や、マットな質感がモダンな「黒釉」、優しい風合いの「灰釉」など、多彩な表現で私たちを楽しませてくれます。 どの色も派手すぎず、食材の色を邪魔しないため、料理がとてもよく映えます。
宮城陶器の器はどこで買える?購入方法まとめ
沖縄旅行の記念に、ぜひ宮城陶器の器を連れて帰りたい。そう思った方のために、主な購入方法をご紹介します。大変人気が高いため、いつでも必ず手に入るとは限りませんが、旅の計画を立てる際の参考にしてください。
【沖縄・南城市】工房併設のギャラリー
最も作品の世界観に浸れるのが、南城市にある工房併設のギャラリーです。 作家である宮城さんご自身がセレクトした器が、古民家を改装した趣のある空間に並びます。
ただし、前述の通り、ギャラリーは不定期オープンで、完全予約制の場合が多いです。 訪問を希望する場合は、必ず事前に公式Instagramなどで営業日や予約方法を確認してください。突然訪れても入ることはできないので注意が必要です。 予約が取れたら、それはとても幸運なこと。作り手である宮城さんと直接お話できる機会があるかもしれません。作品が生まれた場所の空気を感じながら、じっくりとお気に入りを選んでみてください。
| 施設名 | 宮城陶器 |
|---|---|
| 住所 | 沖縄県南城市佐敷屋比久328 |
| 電話番号 | 098-917-1623 |
| 営業形態 | 不定期オープン(要事前確認・予約) |
| 公式情報 | https://www.instagram.com/miyagimasayuki/ |
【沖縄・那覇市】セレクトショップ「miyagiya」
那覇市内で宮城陶器の器を探すなら、セレクトショップ「miyagiya(ミヤギヤ)」を訪れてみるのがおすすめです。 こちらは、宮城陶器をはじめ、沖縄の様々な作家のやちむんや琉球ガラス、ファッションアイテムなどを扱う、洗練されたライフスタイルショップです。
国際通りからも比較的アクセスしやすく、観光の合間に立ち寄ることができます。宮城陶器の入荷は不定期で、人気のためすぐに売り切れてしまうことも多いですが、他の素敵な沖縄の手仕事にも出会える魅力的なお店です。 旅の思い出を探しに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
【オンラインストア】自宅でじっくり選ぶ
沖縄までなかなか行けないという方や、旅行中に手荷物を増やしたくないという方には、オンラインストアでの購入が便利です。宮城陶器の公式オンラインストアはありませんが、「miyagiya」の公式オンラインショップや、全国のセレクトショップのオンラインストアで取り扱いがあります。
手仕事の器なので、一つひとつ色合いや形が微妙に異なります。オンラインで購入する際は、その個体差も「一点もの」の魅力として楽しむ気持ちで選ぶと良いでしょう。
【全国】個展や陶器市などのイベント
宮城陶器は、沖縄県内だけでなく、全国各地の百貨店やギャラリーで個展を開催することもあります。 個展では、普段はなかなかお目にかかれないような作品や、新作が発表されることもあり、多くのファンが訪れます。
また、沖縄では毎年冬に「やちむんの里 陶器市」や「壺屋やちむん通り祭り」など、大規模な陶器市が開催されます。宮城陶器がこれらのイベントに必ず出店するわけではありませんが、沖縄の焼き物文化に触れる絶好の機会です。旅行のタイミングが合えば、ぜひ訪れてみてください。イベント情報は、宮城陶器のInstagramや、各セレクトショップのSNSなどで告知されることが多いので、チェックしておきましょう。
沖縄旅行で訪れたい!工房周辺のおすすめスポット

せっかく宮城陶器の工房がある南城市まで足を延ばすなら、周辺の観光も満喫したいですよね。豊かな自然と琉球の歴史が息づく南城市エリアには、魅力的なスポットがたくさんあります。器探しの前後に立ち寄りたい、おすすめの場所をいくつかご紹介します。
琉球王国最高の聖地「斎場御嶽(せーふぁうたき)」

宮城陶器の工房から車で約15分の場所にある「斎場御嶽」は、琉球王国時代に国家的な祭祀が行われた、最も格式高い御嶽(うたき・聖地)です。2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして世界文化遺産に登録されました。
うっそうとした亜熱帯の森の中に、巨大な岩や木々が神秘的な雰囲気を醸し出しています。特に、2つの巨岩が寄り添ってできた三角形の空間「三庫理(さんぐーい)」は、写真スポットとしても有名です。沖縄の精神文化の根源に触れることができる、パワースポットとして知られています。訪れる際は、聖地であることへの敬意を忘れず、静かに散策しましょう。
太平洋を一望する絶景カフェ「カフェくるくま」
沖縄の雄大な景色を楽しみながら食事をしたいなら「カフェくるくま」がおすすめです。高台に位置するこのカフェのテラス席からは、太平洋の美しい海と空を180度見渡すことができます。
本格的なタイ料理が名物で、特に数種類のカレーを一度に楽しめるセットメニューが人気です。青い海を眺めながら味わうスパイシーな料理は格別。敷地内には広々とした庭園もあり、食後にのんびりと散策するのも気持ちが良いです。宮城陶器の工房からもアクセスしやすく、ランチやティータイムにぴったりのスポットです。
沖縄の原風景が残る「奥武島(おうじま)」
南城市の南に位置する「奥武島」は、本島と短い橋で結ばれた周囲約1.7kmの小さな島です。昔ながらの沖縄の漁村の風景が残っており、のどかな時間が流れています。
この島の名物は、なんといっても「天ぷら」。島内には複数の天ぷら店があり、揚げたてを求めて多くの観光客や地元の人々で賑わいます。もずくやアーサ(あおさ)、旬の魚など、沖縄ならではの食材を使った天ぷらを、海を眺めながら頬張るのは最高の体験です。宮城陶器で素敵な器を手に入れた後に、気軽に立ち寄れるグルメスポットとしておすすめです。
まとめ:沖縄旅行で宮城陶器の器と出会い、日々の暮らしを豊かに

この記事では、沖縄県南城市に工房を構える人気の焼き物「宮城陶器」について、その魅力や購入方法、周辺情報などを詳しくご紹介しました。
- 宮城陶器は、作家・宮城正幸さんが作る、伝統とモダンが融合した新しいスタイルの「やちむん」です。
- 「シンプル・味わい・伝統・モダン」をコンセプトに、薄くて軽く、現代の食卓に馴染むデザインが特徴です。
- 沖縄の海や空を思わせる美しい釉薬の色合いも大きな魅力の一つです。
- 購入は、南城市の工房ギャラリー(要予約)のほか、那覇市のセレクトショップ「miyagiya」やオンラインストア、全国での個展などで可能です。
- 工房のある南城市には、斎場御嶽や絶景カフェなど、合わせて楽しめる観光スポットも豊富です。
宮城陶器の器は、沖縄の豊かな自然と、作り手の丁寧な手仕事から生まれる、まさに「暮らしの宝物」です。沖縄旅行の際にはぜひ、お気に入りの一枚を探しに訪れてみてください。きっと、旅の思い出とともに、あなたの毎日を少しだけ特別なものにしてくれるはずです。


